top of page
外食ビジネスアナリスト 三輪大輔
MIWA JOURNAL
「MIWA JOURNAL」は、外食産業・飲食業界の最新動向を、企業戦略・業界構造・現場視点から読み解く専門メディアです。日々のニュースを単に追うのではなく、「なぜそれが起きているのか」を継続的に解説しています。「外食ニュース解説」をはじめ、「飲食経営者の肖像」「飲食DXの伴走者」などの連載を通じて、外食産業の現在地と変化の本質を伝えています。更新は火曜・木曜。
検索


「背徳グルメ」が2026年に再ブーム。「背徳鍋」に見る人気の理由と2019年との違い
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 2026年の外食シーンでは、「背徳」をテーマにした商品やフェアが相次ぎました。肉やチーズ、にんにく、背脂などを豪快に使い、「今日は思い切って食べたい」という気分を刺激する商品が目立っています。 そして今回、ぐるなびが発表した「トレンド鍋2026」にも「背徳鍋」が選ばれました。健康志向が定着し、物価高によって節約意識も高まる中、なぜ今、あえてカロリーや罪悪感を気にせず楽しむ「背徳」が支持されているのでしょうか。 実は「背徳」が注目されるのは、今回が初めてではありません。2019年から2020年にかけても、「悪魔メシ」「悪魔的」といった言葉が広がり、高カロリーで罪深い料理が大きな話題になりました。2026年は、いわば“第二次背徳ブーム”といえそうです。 2026年に広がった「背徳」 今年は外食やコンビニなどで、「背徳」を前面に押し出した商品が相次ぎました。 例えば、しゃぶ葉では「しゃぶ葉背徳研究所」を立ち上げ、「背徳 至高のグルメフェア」を期間限定で開催。濃厚な豚スープやにんにく、太麺などを組み合わせ、背徳ラーメンや

三輪大輔
2 日前読了時間: 5分


外食産業の今後はどうなる? インフレ・人口減少・人手不足で進む5つの変化
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 外食産業は今後どうなるのか。 原材料費や人件費、光熱費、物流費の上昇が続く一方、消費者の生活には物価高が重くのしかかっている。さらに日本では人口減少が進み、飲食店では人手不足も深刻になっている。 外食産業を取り巻く環境は、決して楽観できるものではない。 ただし、だからといって「人口が減るから外食市場も縮小する」と単純に考えることはできない。実際には、外食企業の価格戦略、人材戦略、店舗運営、M&A、海外展開など、経営のあり方そのものが大きく変わろうとしている。これまで外食産業を取材してきた中で見えてきたのは、大きく5つの変化である。 1.インフレ下で進む「価格の三極化」 今後の外食産業では、単純に値上げが続くのではなく、「値上げ」「価格据え置き」「値下げ」の三極化が進んでいくと考えている。 一つ目は、ブランド力や商品力を背景に値上げできる企業だ。多少価格が上がっても客数が大きく落ちないブランドであれば、原材料費や人件費の上昇を価格へ転嫁しやすい。価格ではなく、商品や体験そのものを理由に選ばれている企業は、このグルー

三輪大輔
4 日前読了時間: 9分


セブン、ローソン、ファミマのコンビニ3社がおにぎり値下げ コメ価格下落は外食の値付けをどう変える?
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト ローソンは9月29日から、全国の店舗で「手巻おにぎり」全品を一律10円値下げする。セブン‐イレブンでは9月8日から「手巻おにぎり 炭火焼銀しゃけ」「手巻おにぎり 具たっぷり辛子明太子」の2商品を値下げ。ファミリーマートも9月22日から「直巻おむすび」4種類を11円値下げした。 ファミリーマートは9月22日から『直巻おむすび』4種類を11円値下げ。背景には米の市場価格の低下がある ファミリーマートは、その背景として「米の市場価格の低下」を挙げている。実際、スーパーの店頭でもコメ価格は下がり始めている。農林水産省によると、2026年7月のコメの小売価格は5kgあたり平均3370円で、前月から219円下がった。 では、コメが安くなり、コンビニ各社もおにぎりを値下げするなか、なぜ価格は以前の水準まで戻らないのだろうか。そこには、「コメ価格が下がった」という事実だけでは見えてこない、おにぎりのコスト構造がある。さらに今回の値下げを追っていくと、もう一つ興味深い動きが見えてくる。コンビニの「客数」をめぐる競争である。 コメは

三輪大輔
9月26日読了時間: 7分


マクドナルド鎌倉店はなぜ木造に? 既存店改装と1兆円に迫る店舗戦略
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 鎌倉の街に現れた白い「M」の看板。2026年9月18日にオープンした「マクドナルド鎌倉常盤店」は、鎌倉市の景観条例に配慮した外観と、建物の躯体に国産木材を100%使用したことが話題になった。国内のマクドナルドで、躯体に国産木材を100%使った初めての店舗だ。 白い「M」が目を引くマクドナルド鎌倉常盤店。景観に配慮した外観の内側には、国産材を使った木造の店舗がある(筆者撮影) 一見すると、街並みに合わせたデザインが目を引く象徴的な環境配慮店舗である。しかし、店を訪れて気になったのは看板の色や木の温かみだけではなかった。ドライブスルーは2レーンで、デリバリー専用の部屋も備える。目を引く外観の裏側には、増え続ける注文を効率よく処理するための店舗設計がある。 注文口を二つ備えたドライブスルー。木造化と並び、注文を効率よく受ける設計もこの店の見どころだ(筆者撮影) デリバリー専用の受け取りスペースも設置。注文チャネルの拡大に合わせ、店内客と配達員の動線を分けている(筆者撮影) この新店舗から考えたいのは、二つのテーマだ。一

三輪大輔
9月25日読了時間: 6分


なぜスシローは成功し、他社は撤退したのか? ミスド再挑戦から考える外食企業の中国進出「成功と失敗の分かれ目」
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 日本の外食企業の中国進出の明暗が分かれています。 スシローは2021年に中国本土へ進出し、2026年4月には100店舗へ到達しました。一方、丸亀製麺、はなまるうどん、くら寿司など、中国から撤退した企業も少なくありません。同じ日本食への需要を前に、なぜ伸びる企業と撤退する企業に分かれるのでしょうか。鍵を握るのは、ブランドの知名度だけではありません。 そもそも中国の外食市場は2025年、5兆7,982億元、日本円に換算すると約130兆円に達しました。飲食店数は約1,600万店ともいわれています。日本の外食市場は約25兆円であり、中国はその約5倍です。店舗網を築くことができれば、大きな成長を期待できる魅力的な市場です。 そのため、一度撤退した企業が再び中国へ進出する動きもあります。ミスタードーナツは2019年の撤退から7年を経て、上海へ戻ります。では、中国で成功と撤退を分けるものは何でしょうか。重要になるのが、中国の出店競争と価格競争に耐えられる供給網、店舗運営、現地パートナーを含めた経営体制です。 時代とともに変わる

三輪大輔
9月24日読了時間: 6分


スターバックスはなぜ好調な日本事業を売却するのか。中国型モデルから読む次の一手
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 9月16日、ロイターはスターバックスが日本事業の過半数株式の売却を検討していると報じた。日本事業の企業価値は約30億ドルとされ、正式な売却プロセスが2026年第4四半期にも始まる可能性があるという。日本には1883店舗があり、スターバックスにとって最大の海外市場である。しかも日本事業は不振ではなく、むしろ好調な市場の一つだ。 日本事業の過半数株式の売却が検討されているスターバックス。日本は同社にとって最大の海外市場であり、今後どのような資本構成・運営体制へ移行するのかが注目される。 では、なぜスターバックスは好調な日本事業を売ろうとしているのか。その答えを考える上で、改めて注目したいのが中国である。スターバックスは中国ですでに、従来とは異なる事業運営へ踏み出している。もし日本でも同じ方向へ進むのであれば、今回の売却検討は単なる事業の切り離しではない。 スターバックスという企業そのものが、世界でどのような経営モデルへ移行しようとしているのか。今回は、中国で何が起きているのかを整理しながら、日本事業が今後どのように変

三輪大輔
9月23日読了時間: 7分


ファミマの「250円朝食」で「第4次モーニングブーム」は次の段階へ。外食とコンビニの朝食戦争
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 2026年9月15日、ファミリーマートが「朝ファミマのコンビ割」をスタートした。午前5時から11時までの時間帯に、おむすびまたはパンと、対象の飲料をセットで購入すると250円になる。対象となるのは、おむすび5種類、パン8種類、飲料9種類。全国約1万6100店舗で実施され、組み合わせは117通りに及ぶ。 ファミリーマート「朝ファミマのコンビ割」。午前5時から11時まで、おむすびまたはパンと対象飲料の組み合わせを250円で販売する(画像:ファミリーマートリリース) おむすび1個とコーヒーを買って250円。物価高が続き、外食でもコンビニでも値上げが相次ぐ現在では、かなりインパクトのある価格だ。ただ、この施策を外食産業の最近の動きと重ねてみると、単なるコンビニの値引きキャンペーンとは違って見える。今、外食チェーンでも「朝」を巡る競争が激しくなっているからだ。 サイゼリヤは「朝サイゼ」を展開し、300円台から利用できる低価格のモーニングを投入。ケンタッキーフライドチキンも「KFC a.m.」を打ち出すなど、朝の時間帯を強化

三輪大輔
9月22日読了時間: 8分


サンマルクHDはなぜ「つるとんたん」に128億円を払えるのか? 今、100億円M&Aを連発する理由
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト サンマルクホールディングス(HD)が、大きく変わり始めている。 2026年9月17日、サンマルクHDは、カトープレジャーグループ(KPG)傘下のケー・エキスプレスから「つるとんたん」などの事業を128億円で承継すると発表した。対象となるのは、「つるとんたん」など国内直営14店舗、海外FC2店舗に加え、製麺やギフト商品の販売事業。2026年3月期の売上高は61億3500万円だった。サンマルクHDは、チェーンオペレーションや物件情報網を活用した国内主要都市への出店、物流網による調達コストの低減、ASEANを含む海外展開を進めるとしている。 興味深いのは、128億円という金額だけではない。サンマルクHDは2024年、「京都勝牛」などを展開するジーホールディングスを112億円で、「牛かつもと村」を展開するB級グルメ研究所ホールディングスなどを105億円で相次いで取得した。今回の「つるとんたん」を加えると、約2年間で3件、総額345億円規模の大型M&Aを実行することになる。 かつて「サンマルクカフェ」「鎌倉パスタ」など、自

三輪大輔
9月20日読了時間: 7分


同じ値下げでも意味が違う? くら寿司、鳥貴族、安楽亭に見る外食業界の値付けの三極化
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 外食企業の値付けが激しく動いている。 くら寿司は、最低価格を115円から110円へ引き下げる一方、サーモンや生えびなど33品目を120円へ値上げした。安楽亭は食べ放題のスタンダードコースを4048円から3608円へ引き下げ、グランドメニューも75品目以上を値下げした。一方、鳥貴族は10月から全品均一価格を390円から410円へ引き上げる。 同じ原材料費や人件費の上昇に直面しながら、値上げする企業、値下げする企業、商品ごとに価格を上げ下げする企業に分かれている。これは外食の値上げ路線が終わったという話ではない。各社の競争力の差が、値付けに表れ始めたのである。 110円のはま寿司、高付加価値のスシローに挟まれたくら寿司 くら寿司は9月4日から、最低価格を115円から110円へ引き下げた。「ねぎまぐろ」など37品目が対象となる。一方、これまで115円だったサーモン、生えび、赤貝など33品目は120円へ値上げした。安さを印象づける商品を下げながら、需要が見込める商品は値上げして採算を調整する改定である。...

三輪大輔
9月17日読了時間: 6分


カフェ業界の現状を「4象限」で読み解く スタバ、ドトール、ベローチェ、ルノアールの競争領域
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 以前、Yahoo!ニュース エキスパートで、カフェ市場を取り巻く競争環境について前後編の記事を書きました。 前編では、「スターバックス」「ドトールコーヒーショップ」「カフェ・ベローチェ」など大手カフェチェーンを中心に、禁煙化とコスト高によって競争軸がどのように変わっているのかを分析しました。(→ スタバ、ドトール、ベローチェの現在地。禁煙化とコスト高で始まる大手カフェの新競争【前編】) 後編では、中小の喫茶店や専門店、韓国発の低価格・大容量カフェ、コンビニなどにも視野を広げ、カフェ市場の競争相手がどこまで広がっているのかを取り上げました。( コーヒー豆高騰でカフェ市場に異変。中小店、韓国勢、コンビニが競う新時代【後編】) その中でも、前編でカフェ市場を整理するために使ったのが、「吸う/吸わない」「高い/安い」という二つの軸です。スターバックス、ドトール、ベローチェ、ルノアール。いずれも一般には「カフェ」「喫茶店」として括られます。しかし、実際には同じ市場で、まったく同じ競争をしているわけではありません。...

三輪大輔
9月15日読了時間: 11分


【飲食DXの伴走者】採用と定着を高める社内報の使い方。MAKANAIが支える飲食店の組織づくり
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 社内報は古いのか 社内報と聞くと、どこか古い印象を持つ人は少なくないだろう。紙で配られ、休憩室に置かれ、誰が読んだのか分からない。会社からのお知らせが並び、現場のスタッフにとっては少し距離のある存在。そんなイメージを持つ人もいるかもしれない。 しかし、飲食店において社内報が担える役割は、決して小さくない。むしろ人手不足が深刻化し、採用と定着が経営課題になっている今だからこそ、社内報の価値は見直されていい。 なぜなら、人が辞めにくい店をつくるには、時給や待遇を整えるだけでは足りないからだ。会社が何を大切にしているのか。どのような人が働いているのか。どのような未来を目指しているのか。それを現場に継続的に伝える必要がある。 古かったのは、社内報そのものではない。情報の届け方だったのではないか。その社内報を、飲食店向けにアプリとしてアップデートしたサービスがある。株式会社GATEWINGが提供する飲食業特化社内報アプリ「MAKANAI」である。 採用と定着は情報共有から始まる 飲食店の採用難は続いている。求人を出しても応

三輪大輔
9月10日読了時間: 6分


なぜココイチまで「深夜料金」を導入するのか?24時間営業の採算と「夜の外食」の変容
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 「カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)」が、2026年9月1日から深夜料金を導入した。午後10時から翌朝5時までの注文に対して、店内飲食だけでなく、テイクアウトにも7%を加算する。 深夜料金といえば、これまではファミリーレストランを中心に導入されてきた。しかし近年は、すき家や松屋などの牛丼店、はま寿司などの回転寿司へと広がり、今回、新たにカレーチェーンのCoCo壱番屋も加わった。深夜料金は、特定の業態だけのものではなくなりつつある。 背景にあるのは、人件費をはじめとした深夜営業のコスト上昇だ。深夜料金は、単なる便乗値上げではなく、24時間営業や深夜営業を維持するための仕組みと捉える必要がある。 一方で、料金を上乗せすれば、すべての店が収益を改善できるわけでもない。導入できる店とできない店の差はどこにあるのか。CoCo壱番屋の深夜料金導入を起点に、その背景と外食企業への影響、さらに変化する夜の外食市場について考えてみたい。 深夜営業を直撃する人件費の上昇 深夜料金が広がる最大の背景は、人件費の上昇である。最低賃金

三輪大輔
9月8日読了時間: 8分


串カツ田中がリブランディング。ハイボール110円、新ロゴ・新店舗で狙う次の20年
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 串カツ田中が、ブランド誕生18年目にして初の大規模なリブランディングに乗り出した。 運営するユニシアホールディングスは2026年9月4日、新たなブランドロゴと店舗デザイン、新タグライン「今日も、田中で。」を発表した。さらに9月10日からは「無限ハイボール(トリスハイボール)」を100円(税込110円)で新設するなど、全国の店舗でドリンク価格も改定する。 「串カツ田中」の新ロゴを披露するユニシアホールディングス代表の貫啓二氏と、PR大使に就任したももいろクローバーZの佐々木彩夏さん。ブランド誕生18年目で初のリブランディングを実施した 今回のリブランディングで注目したいのは、単なるロゴや内装の変更にとどまらないことだ。店舗、商品、価格、利用シーンまで含めて、次の20年に向けてブランドそのものを再設計しようとしている。 世田谷の住宅街から始まった串カツ田中 串カツ田中の1号店は2008年12月、東京・世田谷に誕生した。当時はリーマン・ショックのさなか。運営会社は株式会社ノートで、串カツ田中は会社の起死回生をかけて生ま

三輪大輔
9月4日読了時間: 6分


日本のロックバンド史を世代別に読み解く。BOØWY、ミスチル、BUMP、ワンオク、ミセスまでの6世代
三輪大輔 「最近のMrs. GREEN APPLEやOfficial髭男dism、King Gnuは、自分たちが聴いてきた90年代や2000年代のバンドと何かが違う気がする」 「日本のバンドブームは、結局いつが一番すごかったのか」 日本のロックバンドを語るとき、こうした疑問は少なくありません。しかし、バンドの歴史を単なる年代順や音楽ジャンルだけで切ろうとすると、どこかで無理が生じます。日本のロックバンド史を読み解く鍵は、「どのメディア環境で、どのように大衆へ届いたか」という視点です。 テレビ、CD、雑誌、フェス、ストリーミング、SNS。時代ごとに主戦場となるメディアが変わるたびに、日本のロックバンドの売れ方、聴かれ方、求められる役割も変化してきました。そこで本稿では、80年代以降の日本のロックバンド史を、大きく6つの世代に分けて整理します。 もちろん、それ以前にもキャロル、RCサクセション、サザンオールスターズ、YMOなど、日本のロック史を形づくった重要な存在は数多くいました。そうした前史の上に、80年代以降、ロックバンドは大衆への届き方を大きく

三輪大輔
9月1日読了時間: 10分


フードデリバリー市場はなぜ撤退が相次ぐのか。menu撤退で見えたUber Eats(ウーバーイーツ)・出前館・ロケットナウ「3強時代」の死角
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト コロナ禍をきっかけに急拡大したフードデリバリー市場で、大きな再編が進んでいる。 KDDIは2026年8月、子会社のmenuが展開するフードデリバリーサービスを9月30日で終了し、その後menuを解散・清算すると発表した。KDDIは、フードデリバリー市場を取り巻く競争環境の変化や今後の事業見通しを総合的に検討した結果としている。 menuは2020年、サービスの認知拡大に向けてデリバリーバッグや自転車などを使ったプロモーションを展開。日本発のフードデリバリーとして存在感を高めてきた。 国内ではこれまで、foodpanda、DiDi Food、Chompyなどが撤退し、2026年3月にはWoltも日本市場から撤退した。そして今回のmenu撤退によって、国内のフードデリバリー市場はUber Eats、出前館、ロケットナウを中心とした「3強時代」が鮮明になってきた。 一方で、市場そのものが縮小を続けているわけではない。2025年のデリバリー市場規模は8240億円。2024年には一度減少したものの、2025年は再び増加に転

三輪大輔
8月28日読了時間: 14分


くら寿司は110円値下げで復活できるか。 スシロー・はま寿司との競争から見る回転寿司の価格戦略
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 回転寿司チェーン「くら寿司」が、9月4日から最低価格を115円から110円へ値下げする。原材料価格や人件費、エネルギーコストの上昇を背景に、外食業界ではここ数年、値上げが当たり前になってきた。その中で最低価格を引き下げる今回の決定は、かなり目を引く。 ただし、くら寿司が全面的な値下げに踏み切ったわけではない。これまで115円で販売していた「サーモン」「生えび」「赤貝」など33品目は120円へ値上げする。一方で、最低価格を110円へ下げ、110円の商品を計37品目まで揃える。つまり今回の改定は、単なる値下げではない。「どの商品を上げ、どの商品を下げるのか」を選別し、価格帯そのものを組み直す価格戦略なのである。 くら寿司は増収でも利益が減っている では、なぜくら寿司は今、最低価格を下げるのだろうか。 2026年10月期中間期の売上高は1252億5300万円で前年同期比6.5%増だった。一方、営業利益は24億7600万円で14.7%減。売上は伸びているものの、利益は前年を下回っている。さらに直近では、国内既存店の客数が

三輪大輔
8月25日読了時間: 6分


サガミ「二代目長助」が挑む飲食店のAI無人決済。十割そばを日常食にする次世代セルフ業態の現場
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト AIという言葉を見聞きしない日はない。生成AIをはじめ、画像認識や需要予測など、外食業界でもAIを活用したさまざまなサービスが登場し、導入が進みつつある。 しかし、人の仕事をAIが代替できるかというと、まだその段階には到達していないのも事実である。外食業界では配膳ロボットや調理ロボットなども導入されているが、それらの多くはAIが現場の状況を判断しているというより、あらかじめ決められた動作や工程を自動化しているものに近い。 では、AIを実際の店舗運営に組み込み、人が行ってきた作業を変えていくと、飲食店はどう変わるのだろうか。その現場を見るために訪れたのが、株式会社サガミホールディングスが展開するセルフ式そば業態「十割そば 二代目長助」の日進店だ。 「十割そば 二代目長助 日進店」の外観。サガミホールディングスが展開するセルフ式の十割そば専門店で、石臼挽きのそば粉を使用した本格的な十割そばを、日常的に利用しやすい価格帯で提供している。日進店では全自動会計システムも導入し、商品価値を高めながら店舗運営を効率化する新たな

三輪大輔
8月21日読了時間: 12分


外食業界で「増収減益」が相次ぐ理由とは。スシローの海外利益が国内を超えた決算から見える次の競争
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 外食企業の決算発表が相次いでいる。 足元の外食決算で目立つのが、売上は伸びているにもかかわらず、利益が減少する「増収減益」だ。モスフードサービス、ワタミ、力の源ホールディングス、トリドールホールディングスなどでは、売上を伸ばしながらも利益面では苦戦が見られた。 一方、すかいらーくホールディングス、物語コーポレーション、ゼンショーホールディングス、FOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)など、増収増益を実現する企業もある。 同じように原材料費や人件費などのコスト上昇に直面しながら、なぜこれほど利益に差がつくのだろうか。足元の決算を読み解くと、国内市場で収益を確保する難しさと、その先の成長を左右する海外戦略の課題が見えてくる。 外食の決算で「増収減益」が相次ぐ理由 増収減益企業を見ると、コスト上昇の影響が鮮明だ。モスフードサービスは2027年3月期第1四半期に売上高が前年同期比3.6%増となった一方、営業利益は52.9%減となった。力の源ホールディングスも売上高5.9%増に対して、営業利益は48.6%減

三輪大輔
8月18日読了時間: 6分


1兆円目前のラーメン業界で何が起きているのか。一風堂・町田商店・魁力屋に見る国内競争と海外戦略
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト ラーメン市場が大きな転換点を迎えている。 帝国データバンクによると、2025年度のラーメン店市場は8855億円となる見込みで、10年前の5418億円から63.4%拡大した。現在の成長が続けば、早ければ2027年度にも1兆円市場へ到達する可能性がある。 ところが、ラーメン店を取り巻く経営環境は決して順風満帆ではない。原材料費、人件費、光熱費は軒並み上昇している。麺や豚肉、背脂、海苔、メンマなど幅広い食材が値上がりする一方、ラーメンには長年「1000円の壁」があると言われてきた。近年は1000円を超える商品も珍しくなくなったとはいえ、他の外食業態ほど価格転嫁が容易なわけではない。 東京商工リサーチによると、2025年度のラーメン店の倒産は57件となり、過去2番目の高水準となった。店は淘汰されている。それなのに、市場は過去最大となり、1兆円に近づいている。一見すると矛盾しているように見えるが、ここに現在のラーメン業界を理解する重要なポイントがある。 ラーメン市場は単純に店舗数を増やしながら成長しているのではない。プレー

三輪大輔
8月13日読了時間: 7分


【アルバムレビュー】MUSEが戻ってきた。新作『The Wow! Signal』が示す3人の進化
三輪大輔|外食ビジネスアナリスト 「MUSEが戻ってきた」。そう言ってもいいのではないだろうか。それくらい、新作『The Wow! Signal』がいい。2022年の『Will of the People』以来、約4年ぶりとなるアルバムだ。発売されてから、かなり聴いている。 『Will of the People』で見せた、MUSEの圧倒的な攻撃性 前作『Will of the People』も、決して弱いアルバムではない。むしろ改めて聴くと、その攻撃性の高さに驚かされる。特に「Kill Or Be Killed」をはじめ、メタル、ハードロックへ大きく振った楽曲は強烈だ。マット・ベラミーのギター、クリス・ウォルステンホルムのベース、ドミニク・ハワードのドラム。それぞれの演奏力の高さが前面に出ており、3ピースのロックバンドとして、この方向だけでも十分に成立している。自分もこのアルバムは好きだ。 ハードロック、エレクトロニック、シンセポップ、オーケストレーション。巨大なステージと結びついた大仰な世界観。これまでMUSEが20年以上かけて試してきた要素

三輪大輔
8月11日読了時間: 7分
bottom of page